ゲンゴロウ(源五郎)は昆虫綱コウチュウ目オサムシ上科に属する水生の数科にまたがるゲンゴロウ類(ゲンゴロウ上科として一括する考え方もある)の総称。またその中でもゲンゴロウ科 (Dytiscidae) のみを指したり、ゲンゴロウ科に属する日本最大種Cybister japonicusのみの標準和名として用いられる。ナミゲンゴロウ、ホンゲンゴロウとも呼ばれる。
日本最大級の水生の甲虫である。タガメなどゲンゴロウより遥かに大きい水生昆虫は存在するが、タガメなどは甲虫ではない。
体型は、扁平(へんぺい)な卵形で、翅(はね)は緑暗褐色、側縁は黄色。オスの前足は、だ円形に広がって、吸盤状になっており、交尾の時にメスの上翅にしがみつきやすいように進化している。またメスは、翅端を除く背面に縮刻があり、これも交尾に際してオスがしがみつきやすくするのに関係した適応と考えられる。
また、ゲンゴロウは水中で生活するのに特化した体のしくみを持っており、翅と躰のすき間に空気をたくわえて、呼吸ができるようにして自由自在に水中で活動できるようになっている。また、水をかき分けて進むボートのオールのような働きをする後ろ足は非常に太く、これを左右同時に動かして素早く水中を直進する。
名前の由来は諸説あり、地方によってもバリエーションがあります。源五郎と言う欲張りが、振るたびに小判が出るがかわりに体が小さくなるという小槌を際限なく振ったために、最後は虫になってしまう。と言う話や、「源五郎の天昇り」では、打つたびに鼻が伸びるという太鼓をポンポコ鳴らした源五郎天まで鼻が伸びてしまい、その鼻をつまみあげた雷神様に気に入られて雨を降らすお手伝いをすることに。源五郎は水を撒けば雨になるひしゃくで地上に雨を降らせたが、水の加減を狂わせると地上では大雨になって大騒ぎになることを面白がるようになってしまったで、あるとき調子に乗ったバチが当たって、雲から落っこちでゲンコロウになった。この話はゲンゴロウブナの由来とも言われている。
種によって水田や池などの止水域や、渓流、さらには海岸の潮間帯上部に位置するタイドプールや地下水などにも生息する。日本では水田が身近であり、そこに住む種は昔から親しまれてきたが、近年水田の農地改良による餌生物の減少や、護岸により幼虫が蛹になれないこと、農薬、水質汚染、ため池におけるブラックバスの無差別放流などで数を減らしている種が目立つ。かつては一部の地方では食用にされるほど多産したが、2010年6月30日東京都内から絶滅したことが都がまとめた「東京都レッドリスト」にて判明した。
本作品は、格脚、胴体、大顎、触角等が可動し、体色は金メッキと硫化で表現した。また、ゲンゴロウの特徴である後脚のブラシ状の毛は極細の真鍮線で表現した。